利益って必要?税金払うくらいなら赤字の方がいい??


突然の問題提起ですが、皆さんは会社に利益って必要だと思いますか??


利益が出ると会社の場合、法人税がかかります。約35%。

1000万の利益を出したら350万の税金がかかります。


もったいないと思いますか??


税金払うんだったら、社長・従業員の給料や他の経費にあてて赤字にした方がいいのではって思っちゃいますね。

しかし、結論から言うと、私は税金を払ってでも利益を出す必要があると思っています。

利益とは、会社を将来に渡って存続させるために必要なコスト

なのです。

何故、必要コストと言えるのか。


大きくは2つの要素があると思っています。

【①将来リスクや不確実性コスト】


会社は、移り行く時代の中に存在しています。会社で今売れている商品は、いつしかお客様から買われなくなったり、会社が持っている技術は、将来陳腐化されることがあるかもしれない。今いる従業員が将来いるとは限らない。


タピオカは3回目のブームが来ていますが、ブームが去ると毎回忘れ去られてしまっています。ナタデココは?クリスピークリームドーナッツは?ディスコは?

ポケベルや蓄音機やMDプレイヤーやCDプレイヤーなど技術革新とともに消えて行きました。


今、活躍している役員や従業員が辞めてしまって当分の間、赤字になってしまう補填が必要だったり。


会社は必ず利益を出し続けていけるという保証がないのです。


そんな状況になったときに、過去利益を残さないできたらどうなるでしょうか。

新しい商品開発や技術開発するためには開発コスト、その新しい商品を販売するためには、販売コスト、人を採用するには、現在売り手市場でかなりの採用コストがかかります。赤字を続けてきた会社には、そのようなコストを負担する余裕がありません。

このような将来発生するであろうリスクに対するコストが利益なのです。

お金がなかったら、お金を金融機関から貸してもらえばいいと思うかもしれませんが、残念ながら、金融機関は赤字続きの会社にお金は貸してくれません。
会社に雨が降っている(赤字続き)場合に、雨傘を貸してくれません。
金融機関は、晴れの日に貸す日傘しか持っていないのですから。

【②資金調達コスト】

減価償却の事を考えると少し複雑なので、減価償却の発生しない会社を想定します。
金融機関からお金を借りているとすると、利益が発生してさらに税金を払った後に余ったお金から返済をしなければなりません。


例えば、100万の利益が出ている会社で年70万の返済をしている会社があるとすると、一件100万利益が出れば返済には問題ないように思えますが、100万の利益に対して35万の税金が払われ、その残った65万から返済しなければならないので、5万の資金ショートを起こす事になります。


損益計算書には表れない借入金の返済コストを利益として確保しなければならないのです。

以上、①将来のリスクや不確実性のコスト②資金調達コスト
を踏まえて利益を考えましょうという事です。


とここで、じゃあ具体的に利益をいくら残すかどうやって考えたらいいかという疑問にたどり着きます。

【①将来コストの利益の決め方】


①の将来のリスクや不確実性のコストってどうやって決めたらいいんでしょう。

これはさすがに難しいですね。。。将来の事はわからないって話で貯めるお金ですからね。
ただ、いくつか考え方があります。
例えば、

・同業他社の利益率を参考に経常利益率〇%を目標値にする。

→長年、同業でしっかり利益を出している会社を参考にするのがいいですね。

・損益分岐点比率80%(将来リスクに応じて変動させる)を目標設定する。

→一般的に、損益分岐点比率が80%を下回ると安定的な経営と言われています。

・従業員1名当り〇〇万円分の利益を残すと基準を設ける。

このような感じで決めればよろしいと思います。


【②資金調達コストの利益の決め方】


借入金返済額の事を忘れてしまうと、黒字でも資金ショートしてしまいますから、この利益もしっかり考慮しましょう。
ポイントは、税金を払った後の利益から借入金返済額を引くという事。

なお、先ほどの例では説明しませんでしたが、経費の中で実際の現金の支出がないけど、経費として認識している科目があります。
それが減価償却費です。借入金の返済は、経費にならないけど現金が出て行ってしまうもの、一方、減価償却費は、経費だけど現金が出ていかないものです。
なので、減価償却費は、借入金の返済の逆で扱えばいいという事になります。
まとめると以下の式になります。


税引前純利益-税金(税引前純利益×税率)-借入金返済額+減価償却費>0

この式を借入金返済額と減価償却費から逆算して求めようとすると以下の式になります。


税引前純利益=(借入金返済額-減価償却費)÷(1-税率)


具体的な事例で見てみましょう。
借入金返済額が500万、減価償却費が100万、税率が35%の場合、
(500万-100万)÷(1-35%)
から615万円の税引前利益が必要という事になります。


以上、利益って必要か?利益ってどうやって決めるか?


についてお伝えしました。参考にして頂ければ幸いです。

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