約束手形・小切手が廃止されることに
2027年3月末をもって約束手形と小切手の利用が廃止されることが決定されました。
すでに各金融機関から具体的なスケジュールが発表されています。
なぜ廃止されるのか?
長年にわたり商取引で利用されてきた手形・小切手ですが、デジタル化が進む現代において、以下のような課題が指摘されています。
手形・小切手の主な課題
- 資金化までの期間が長い:現金化できるまで時間がかかり、資金繰りに影響
- リスクが高い:紛失、盗難、不渡りなどのリスクが常に存在
- 事務負担が重い:記載ミス、管理の煩雑さなど人的コストが高い
- 諸費用がかさむ:印紙税、郵送料など余計なコストが発生
これらの問題を根本的に解決するため、決済の完全電子化が推進されているのです。
廃止までのスケジュール
🗓️ 2025年9月末
多くの金融機関で手形・小切手帳の発行受付が終了
- 新規の手形・小切手帳の発行ができなくなります
🗓️ 2026年9月末
手形・小切手の最終振出期限
- これ以降に発行された手形・小切手は決済できません
🗓️ 2027年3月末
電子交換所の廃止・取立受付停止
- 実質的に手形・小切手が使用できなくなります
- 取引停止処分制度も利用不可となり、信用力が大幅に低下
今すぐ始めるべき4つの対策
STEP① 現状把握・棚卸し
まずは御社の取引において、手形・小切手の利用状況を洗い出しましょう。
- 支払先で手形・小切手を利用している取引先はありませんか?
- 受取で手形・小切手を受け取っている取引先はありませんか?
- 月間・年間でどの程度の頻度で利用していますか?
STEP② 代替手段の準備
手形の代替手段
- **電子記録債権(でんさい等)**への移行を推奨
- 同等の機能を電子化で実現可能
小切手の代替手段
- インターネットバンキングによる振込が最適
- 即時性と安全性を両立
まずはメインバンクにご相談いただき、必要な手続きを進めてください。
STEP③ 取引先との調整・契約見直し
取引先との支払い条件の変更が必要になる場合があります。
- 支払い方法の変更に関する合意
- 必要に応じた契約書の更新
- 支払いサイトの見直し検討
早めの調整が重要です。
直前になって慌てることのないよう、今のうちから取引先との話し合いを始めましょう。
STEP④ 社内体制の整備
- 新しい決済手段の運用ルール策定
- 経理・財務担当者への教育・研修
- 全社的なスケジュール共有
税理士として皆様にお伝えしたいこと
この変更は単なる「支払い方法の変更」ではありません。
企業の資金繰りや信用力に直結する重要な経営課題です。
注意すべきポイント
- 資金繰りへの影響:手形から電子決済への移行で、支払いタイミングが変わる可能性
- 会計処理の変更:電子記録債権等の新しい勘定科目への対応
- 内部統制の見直し:電子決済に適した承認フローの構築
弊所がサポートできること
- 現状の手形・小切手利用状況の分析
- 代替手段導入に伴う会計処理の検討
- 取引先との調整における税務・会計面でのアドバイス
- 新しい決済手段に対応した経理業務フローの提案
最後に
「まだ1年以上あるから大丈夫」と思っていると、気づいたときには手遅れになる可能性があります。
特に、多くの取引先との調整が必要な企業様は今すぐにでも準備を始めることを強くお勧めいたします。
ギリギリの対応は、資金繰りや取引先からの信用に悪影響を与えかねません。
弊所お客様であれば、ご不明な点やご相談がございましたら、いつでもお気軽にお声がけください。
皆様の円滑な移行をしっかりとサポートさせていただきます。
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